研究所の概要
熱帯医学研究所(熱研)は、長崎医科大学附属東亜風土病研究所を前身に、昭和42年(1967年)熱帯医学研究を目的とする国内唯一の公的機関として設立され、平成元年(1989年)に全国共同利用研究所に改組されました。研究所の目的は、熱帯病の中でも最も重要な領域を占める感染症を主とした疾病と、これに随伴する健康に関する諸問題を、世界的視野に立って解決することです。
研究内容・特色
下記3項目からなる[総合目標−Mission Statement]に沿って研究教育活動を行っています。
- 熱帯医学及び国際保健における先導的研究。
- 研究成果の応用による熱帯病の防圧ならびに健康増進への国際貢献。
- 上記に係る研究者と専門家の育成。
主な研究内容は次の通りです。
- 熱帯感染症の分子免疫遺伝学的解析、診断技術の開発、ワクチンの開発など新しい熱帯病対策法の開発研究。
- 熱帯現地におけるマラリア、デング/デング出血熱、急性呼吸器感染症、住血吸虫症など、熱帯感染症の疫学、対策研究。
- 地域コホート研究などによる,熱帯病に猛威を振るわせる環境因子、媒介動物や社会要因などの解析、人類生態学的研究。
これまでの研究教育の実績が認められ、平成15年(2003年)に熱帯医学研究所の申請した「熱帯病・新興感染症の地球規模制御戦略拠点」が文部科学省の「21世紀COEプログラム」に採択されました。
また平成17年には、熱帯病が流行する現場で長期的継続的研究を行うための海外研究室をケニア中央医学研究所とヴェトナム国立衛生疫学研究所に設置しました。
最近の成果
ごく最近の成果は,近年世界を揺るがしているいわゆる新興・再興感染症に関するものです。1999年にニューヨーク市で死亡者が報告されるやたった3年で40州以上に拡大し日本への侵入も時間の問題と考えられている西ナイル熱に対して、不活化ワクチンを開発し、動物実験で有効な成績を上げる一方、新しい診断法も開発しました。
平成15年、重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行時にはWHO短期専門家として3名の教員を東南アジアに派遣し、研究の現場主義の強みを発揮してSARSコロナウイルスをいち早く入手し、ウイルス検出試薬の開発を栄研化学と共同で開発しました。入手したウイルスは国内の他研究機関における研究にも役立っています。
また、2004年12月26日に発生したスマトラ沖地震津波による感染症流行のリスク調査を行うため、スリランカ、インドネシアなどの被災国に、他大学・研究機関の協力も得て専門家チームを派遣しました。現在も、現地での感染症リスクの調査・モニタリングを継続しています。