
徳島大学疾患酵素学研究センターは、1961年に我が国で唯一の酵素学の研究施設として、Wisconsin大学のThe Institute for Enzyme Researchをモデルに徳島大学医学部に設置されたことに始まる。以来47年、酵素学、代謝学、蛋白質化学を基盤に多くの研究者を輩出し、特に医学領域の酵素学研究で医学、生化学、分子生物学に多大な貢献をしてきた。一方、最近の10年間では、発生工学、プロテオミクス、X線結晶構造解析、脳科学の研究者がメンバーに相次いで加わり、徳島大学の生命科学研究の中心的拠点としてその役割を果たすと共に、国際共同研究を発展させながら酵素学の国際研究拠点の形成にその特色を発揮しようと目指している。平成19年4月からは、「疾患酵素学研究センター」として改組して、これまでの基礎研究の充実を図りながら研究の出口としての病気(疾患)を明確な目標として、プロジェクト研究体制で研究を進めている。
最近の成果
遺伝性自己免疫疾患の原因遺伝子AIREの作用の解明、病原性大腸菌O157の病原性発症に関与するエフェクター蛋白のプロテオミクス解析による解明、肺に見いだされた生体成分粘膜アジュバントの有効成分の同定と人工合成の成功、インフルエンザ脳症の病因の一つとしてミトコンドリアのエネルギー産生酵素の熱不安定性の発見、糖尿病患者の血清に増加する切断化インスリン受容体αサブユニットの発見と定量法の開発、ウシ及びヒツジプリオン蛋白ワクチンによるマウスプリオン病の発症遅延、ヒトのD-アミノ酸酸化酵素の構造解析等の成果が挙げられており、発症機序の解明から病気の治療、予防のターゲット分子の同定に向けた研究が進んでいる。