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東北大学金属材料研究所

住所:〒980-8577 仙台市青葉区片平2-1-1
URL:http://www.imr.tohoku.ac.jp/
所長:中嶋 一雄
所長の専門:結晶成長物理学
研究所の概要
“金研”は、1916年、本多光太郎博士により、鉄鋼の自給という当時の社会的命題に答えるために設立されました。その後、徐々に鉄鋼から金属全般、そして非金属へと研究領域を広げ、物質、材料の学術・応用研究の世界的中核拠点に発展し、1987年には東北大学に附置したままで全国共同利用型の研究所に生まれ変わりました。その目的は、環境・エネルギー、情報・通信、生体、高度安全空間など、最先端の科学・工学の基盤となる材料科学の学理の探求と応用です。

研究内容・特色
  1. 金研は、初期の頃、鉄炭素合金の物理冶金学を究めて良質な鉄鋼を製造する技術を開発し、日本の鉄鋼業の発展に多大の貢献をしました。また、当時世界最強のKS磁石鋼、特殊鋼や精密機器用材料など多くの実用材料の開発にも成功しました。
  2. その一方で、先端的応用を拓くための基礎研究にも力を入れ、強磁場、極低温、中性子散乱の技術を日本でいち早く確立して物質の磁性、超伝導研究を主導するなど、学術的にも多くの貢献をしています。
  3. 最近では、バルク金属ガラスなどの研究によって金属材料に新しいジャンルを切り開くとともに、環境・エネルギー、情報・通信、生体など、多くの分野の基盤となる新しい物質、材料(酸化物、セラミックス、半導体、炭素材料など)の開発を行っています.このように広い視野から物質を探りつつ、常に実学に帰する姿勢は、本多光太郎先生以来の金研の精神になっています。
  4. 研究部とは別に、5つの附属研究施設(量子エネルギー材料科学国際研究センター、金属ガラス総合研究センター、強磁場超伝導材料研究センター、材料科学グローバルオペレーションセンター(仮)、大阪センター)を有し、それぞれの特徴を生かした研究を展開しています。

最近の成果

1) Si融液からのデンドライト結晶成長メカニズムの解明と太陽電池用高品質Siバルク多結晶製造技術への適用
Si融液からのデンドライト結晶の成長メカニズムを、独自のIn situ成長過程観察装置を考案し、初めて解明しました。この成長メカニズムをベースに、従来制御できなかったSi多結晶インゴット・ウェハーの結晶粒方位、粒サイズ、粒界性格の精密制御が可能な、独自の「デンドライト利用キャスト成長法」の開発に結びつけることができました。さらに、この新結晶成長技術により、高効率太陽電池を開発するために不可欠である高品質・高均質Si 多結晶インゴット・ウェハーを得ることができ、今後の太陽電池の大規模な展開に大きな貢献ができると期待されています。

図: {111}ファセットと平行に成長するデンドライト結晶。(a) から (d) へと温度減少。


2) 「リチウム超イオン伝導」を示す固体状の軽量水素化物を発見
リチウムボロハイドライド(LiBH4)は、リチウム(Li)、ホウ素(B)、水素(H)、から構成される水より軽い固体状の水素化物であり、化学合成の分野では還元剤などとして利用されてきました。最近では、LiBH4の結晶に含まれる高密度の水素に注目した水素貯蔵材料としての研究開発も進展しており、エネルギー関連の多様な機能設計やそれに必要な物性解析が重要な研究テーマとなっていました。金属材料研究所と大学院工学研究科の共同研究チームでは、LiBH4の電気伝導度や核磁気共鳴などの測定から、388K(115℃)付近での結晶構造の変化に伴って「リチウム超イオン伝導」が発現することを見出しました(図)。この研究は、携帯電話やパソコンなどで広く民生・産業利用されているリチウムイオン二次電池の安全性を高めるための新たな固体電解質の開発などへの幅広い展開が期待されています。

図: リチウムボロハイドライド(LiBH4)の電気伝導度(Electrical conductivity)の温度依存性。388K(115℃)付近での結晶構造の変化に伴って「リチウム超イオン伝導」が発現。核磁気共鳴(NMR)の測定結果とも良い一致を示す。


3)金属ガラス部品低コスト・量産化へ向けた新しい製法
高機能新素材として注目されていますバルク金属ガラスの部材・製品化に向けて、低コスト化・高速量産化を可能とする“急冷遠心鋳造プロセス法”の開発・実証試験に成功しました。これにより、大幅(1/3〜1/50)なコストダウン、量産化が可能になります。既存材料との競争で、低コスト化が最も大きなネックとなっているバルク金属ガラスの製品実用化に向けてのひとつの突破口として注目されます。本研究は弘前大学・理工学部の古屋泰文教授と本所との共同研究です。

写真: 急冷遠心鋳造法で作製した金属ガラス製人工歯根。


4)金の室温巨大スピンホール効果の観測に成功
磁石の性質を持たない金(Au)の中で電流によって電子スピンの流れ(=スピン流:磁気の流れ)を制御する「スピンホール効果」の観測に成功しました。共同研究グループは、垂直磁化を有する鉄白金(FePt)とAuを組み合わせたナノサイズ素子を作製しその伝導特性を調べたところ、これまでの報告より100倍以上大きいスピンホール効果の電気信号が室温で検出されることを実証しました。今回の成果は、固体磁気記憶素子における新しい読み出し手法や磁気センサ、さらには磁石を用いずにスピン流を生成する新しいスピンエレクトロニクス素子として幅広い応用展開が期待されます。本研究は本学工学研究科および独立行政法人産業技術総合研究所ナノテクノロジー研究部門との共同研究です。

図: 巨大スピンホール効果を観測したFePt/Au素子の模式図。



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