
![]() |
住所:〒980-8577 仙台市青葉区片平2-1-1 |
|---|---|
| URL:http://www.imr.tohoku.ac.jp/ | |
| 所長:中嶋 一雄 | |
| 所長の専門:結晶成長物理学 |

1) Si融液からのデンドライト結晶成長メカニズムの解明と太陽電池用高品質Siバルク多結晶製造技術への適用
Si融液からのデンドライト結晶の成長メカニズムを、独自のIn situ成長過程観察装置を考案し、初めて解明しました。この成長メカニズムをベースに、従来制御できなかったSi多結晶インゴット・ウェハーの結晶粒方位、粒サイズ、粒界性格の精密制御が可能な、独自の「デンドライト利用キャスト成長法」の開発に結びつけることができました。さらに、この新結晶成長技術により、高効率太陽電池を開発するために不可欠である高品質・高均質Si 多結晶インゴット・ウェハーを得ることができ、今後の太陽電池の大規模な展開に大きな貢献ができると期待されています。

2) 「リチウム超イオン伝導」を示す固体状の軽量水素化物を発見
リチウムボロハイドライド(LiBH4)は、リチウム(Li)、ホウ素(B)、水素(H)、から構成される水より軽い固体状の水素化物であり、化学合成の分野では還元剤などとして利用されてきました。最近では、LiBH4の結晶に含まれる高密度の水素に注目した水素貯蔵材料としての研究開発も進展しており、エネルギー関連の多様な機能設計やそれに必要な物性解析が重要な研究テーマとなっていました。金属材料研究所と大学院工学研究科の共同研究チームでは、LiBH4の電気伝導度や核磁気共鳴などの測定から、388K(115℃)付近での結晶構造の変化に伴って「リチウム超イオン伝導」が発現することを見出しました(図)。この研究は、携帯電話やパソコンなどで広く民生・産業利用されているリチウムイオン二次電池の安全性を高めるための新たな固体電解質の開発などへの幅広い展開が期待されています。

3)金属ガラス部品低コスト・量産化へ向けた新しい製法
高機能新素材として注目されていますバルク金属ガラスの部材・製品化に向けて、低コスト化・高速量産化を可能とする“急冷遠心鋳造プロセス法”の開発・実証試験に成功しました。これにより、大幅(1/3〜1/50)なコストダウン、量産化が可能になります。既存材料との競争で、低コスト化が最も大きなネックとなっているバルク金属ガラスの製品実用化に向けてのひとつの突破口として注目されます。本研究は弘前大学・理工学部の古屋泰文教授と本所との共同研究です。

4)金の室温巨大スピンホール効果の観測に成功
磁石の性質を持たない金(Au)の中で電流によって電子スピンの流れ(=スピン流:磁気の流れ)を制御する「スピンホール効果」の観測に成功しました。共同研究グループは、垂直磁化を有する鉄白金(FePt)とAuを組み合わせたナノサイズ素子を作製しその伝導特性を調べたところ、これまでの報告より100倍以上大きいスピンホール効果の電気信号が室温で検出されることを実証しました。今回の成果は、固体磁気記憶素子における新しい読み出し手法や磁気センサ、さらには磁石を用いずにスピン流を生成する新しいスピンエレクトロニクス素子として幅広い応用展開が期待されます。本研究は本学工学研究科および独立行政法人産業技術総合研究所ナノテクノロジー研究部門との共同研究です。
