研究所の概要
霊長類研究所は、人間の進化の霊長類的起源について、ヒトを含む霊長類をさまざまな観点から研究している。「人間とは何か」、「人間はどこから来たのか」という問いに答えるために、理系・文系を問わず多様な視点を擁している。さらに全国共同利用研究所として、全国の研究者が利用できる研究体制をとっている。京都大学の伝統であるフィールドワークだけでなく、実験室での研究もおこなわれ、ゲノムから生態環境まで他にはないユニークな研究を生みだしている。霊長類研究所はこのように、ヒトを含む霊長類の基礎的な研究を総合的に推進する研究所である。その点で、応用を中心に据えている外国の霊長類研究施設とは異なっている。 また、本年、日本の霊長類学発祥60周年の記念の年を迎えた。
研究内容・特色

以下の4 つの大部門と1つの付属施設からなっている。なお、従来のニホンザル野外観察施設を改廃して、それに付属する幸島観察所と屋久島観察所を、平成20年度に発足した京都大学野生動物研究センターに移管した。
- 進化系統研究部門(形態進化分野・集団遺伝分野・系統発生分野)は、現生の霊長類の形や成長、遺伝を中心とした変異の研究、および化石による進化の研究をおこなっている。
- 社会生態研究部門(生態保全分野・社会進化分野)は、霊長類の適応と進化機構を解明するため、野生個体群の長期観察をおこなっている。チンパンジー、ボノボ、ニホンザルなど多様な霊長類を扱う。
- 行動神経研究部門(思考言語分野・認知学習分野・行動発現分野)は、人間の心や脳の進化的基盤を研究している。おもに類人猿を対象にした比較認知科学の研究や、人間を含めた霊長類が外界をどのように認識し学習しているかを探り、脳内の知的な行動を起こすしくみを神経科学的に研究している。
- 分子生理研究部門(器官調節分野・遺伝子情報分野)は、生理現象とその調節機構をさまざまなレベルから解明しようと取り組んでいる。遺伝子を指標として霊長類の系統関係を研究したり、遺伝子と生理機能の関係を研究している。
- 人類進化モデル研究センターは、ヒト進化研究の理想的モデルとなる研究用サル類の開発・育成をおこなうとともに、動物福祉の向上を目指した研究をしている。
最近の成果
霊長類研究所を母体として、平成20年度に、新たに野生動物研究センターを京都大学に発足させた。また、豊かな自然環境で霊長類を飼育し、絶滅の危機にある世界の霊長類の保全プログラムを作るべく、現在の官林キャンパスの東約2kmに第二キャンパスをつくり、リサーチ・リソース・ステーション(RRS)を運営している。これにより、野生霊長類の保全を考えるとともに、研究用ニホンザルの日本における供給体制を整備して、霊長類を利用した研究のいっそうの発展と、動物福祉に配慮した研究のガイドラインを日本の霊長類研究者に浸透させることを推進している。「人間の進化の霊長類的起源(HOPE)」と題した日本学術振興会先端研究事業(国際拠点型)の第1号として、日独米英伊5カ国間の国際共同研究を推進している。最近の研究業績に関しては研究所のホームページをぜひ参照していただきたい。