医科学研究所は、1892年に設立された伝染病研究所を前身とし、1967年に「感染症・がんその他の特定疾患の学理及びその応用の研究」を目的とした医科学研究所として改組されました。現在、約720名の教職員とポスドク研究員、そして約300名の医・理・農・薬・情報理工・新領域の各研究科からの大学院学生から構成されており、また大学の附置研究所としては唯一附属病院を持つ、非常に学際色の豊かな研究所です。ヒト疾患の治療の為の学理を極めるための基礎・応用研究を、個人の自由な発想に基づく独創的研究と、ヒトゲノム解析、システム疾患モデル、先端医療、幹細胞治療、及び感染症国際の各研究センター を中心とするゲノム・ポストゲノム・再生医療等の目的指向型のプロジェクト研究との双方を積極的に推進し、そこで得られた成果を研究所附属病院で 先端医療へと応用する「ベンチからベッドサイドまで」を包含するトランスレーショナルリサーチを実施しています。また、平成21年6月に全国共同利用共同研究拠点の認定を受けました。共同研究課題を全国公募し、審査の結果、平成22年度は35題、平成23年度は39題の共同研究課題を採択し、共同研究を実施しています。
最近の成果
ヒトゲノム解析センターでは、がん等の多くの疾患に関与するゲノムワイド関連解析や高速シークエンス解析を用い、易罹患性や薬の効果・副作用・放射線感受性に関与する遺伝子群、C型肝炎のがん化関連遺伝子等を同定した。がん免疫を増強することが予想されるペプチドによるがんペプチド療法のトランスレーショナルリサーチを開始している。幹細胞治療研究センターでは、iPS細胞技術を利用しヒト血小板作成や膵臓再生等の世界的に注目される研究を行っている。感染症国際研究センターでは、国内外と連携した鳥及び新型インフルエンザ、HIV/AIDS、ヘルペス、赤痢菌等の基礎研究に基づき、ワクチン開発や分子標的薬の研究開発を進めている。免疫関連では、TLR等の自然免疫、IL-17などのサイトカイン、NF-kBシグナル等の研究が進められており、先端医療研究センターにおける抗CD26ヒト化モノクローナル抗体の研究は中皮腫に対する臨床研究を海外との共同研究として行うに至っている。また、骨再生医療が進み、本年度は、「骨再生診療科」を立ち上げ、歯槽骨の再生医療を臨床応用することになっている。さらに、粘膜免疫基礎研究とコメに蛋白を発現させるバイオテクノロジー技術の融合によるコメ型経口ワクチン(MucoRice)開発などを推進しており、粘膜ワクチン開発センターを設立する準備が進んでいる。