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筑波大学計算科学研究センター

住所:〒305-8577 つくば市天王台1-1-1
URL:http://www.ccs.tsukuba.ac.jp/
センター長:佐藤 三久
センター長の専門:並列計算工学、プログラミング言語処理、計算機性能評価、グリッドコンピューティング
センターの概要
計算科学研究センターは、平成4年度に設置された計算物理学研究センターを大幅に改組拡充して、平成16年4月に発足した全国共同利用施設で、計算科学分野における国際的研究拠点への発展を目指している。素粒子宇宙・物質生命・地球生物環境などの科学の諸分野の重要課題を、大規模シミュレーション・大規模データ解析を中心とする計算科学の方法により研究するとともに、これを実現するための超高速計算機システムの開発・製作やその利用技術と、大規模な計算資源の利用により可能となる、計算知能、計算メディア等における先進的な計算機応用技術の計算機科学分野での先進的研究を行っている。

研究内容・特色
計算科学は超高速計算機と高速ネットワークを中心的な研究手段とする。その発展には科学諸分野の研究者と計算機科学・情報科学の研究者が共同して研究を実施する体制が重要である。本センターは、長年にわたりこのような共同研究体制を構築し、その中から超並列計算機CP-PACSの開発・製作(平成8年10月完成時点で世界最高速を達成)と、それを用いた素粒子宇宙分野の世界最先端の研究等の成果を挙げて来た。平成18年7月には、国立大学法人運営費交付金特別教育研究経費の交付を受けて開発・製作を進めてきた超並列型クラスタ計算機PACS-CSが稼動を始めた。PACS-CSは、日本において開発された高性能計算機としては、“地球シミュレータ”に続く第二位の14.34 テラフロップス(毎秒14 兆3400 億回)のピーク計算性能を持つシステムである。このシステムを最大限に活用し、基礎科学に加えて、物質・生命・環境等における計算科学の研究の発展を目指している。

研究内容の概要は次のとおりである。
  1. 素粒子宇宙分野:格子QCDを中心とした素粒子標準理論の研究及び宇宙輻射流体力学による宇宙天体諸階層の形成の研究。
  2. 物質生命分野:量子力学第一原理計算に重点をおいた計算科学的手法による、ナノ・バイオ物質の構造と機能の研究。
  3. 地球生物環境分野:地球から陸域規模での気象環境の変動予測と分子レベルの遺伝子進化の研究。
  4. 超高速計算システム分野:計算科学に適した超高速計算機の開発・製作並びにグリッドコンピューティング等ネットワーク技術・分散処理技術の研究。
  5. 計算情報学分野:大規模な計算資源の利用で可能となる、計算知能・計算メディアにおける先進的な計算機応用技術の研究。

最近の成果
大規模超並列クラスタPACS-CSの開発:
計算科学研究センターでは、平成17 年度より文部科学省から国立大学法人運営費交付金特別教育研究経費を受け、3ヵ年計画で、「計算科学による新たな知の発見・統合・創出」事業を推進している。この事業は、従来型クラスタ計算機の欠点を克服し、大規模な科学技術計算に適した性能・機能を有する超並列型クラスタ計算機“PACS-CS”を開発・製作し、これを用いて、素粒子・宇宙や物質・生命の先端的な研究を推進しようとするものである。“PACS-CS”は、2560 台の計算ノードを総計20480 本のギガビットイーサネットケーブルで結合した超並列型のクラスタ計算機である。全体で14.34 テラフロップス(毎秒14兆3400 億回)のピーク計算性能、5 テラバイトのメモリ、819 テラバイトの分散ディスクを持つ。計算科学の大規模計算を実現可能とする特徴として、1)計算性能とメモリ性能のバランスを保つため、計算ノードのプロセッサ数は1 個に絞り、高速メモリを設置した。2) 計算ノードを結合するネットワークとして、ノードあたり6 本のギガビットイーサネットケーブルを用いる3次元ハイパクロスバ構造の採用により、高いネットワーク性能と柔軟さを低コストで実現している。3) 国産のクラスタ基本ソフトウェアとして国際的に評価の高いSCore を採用し、3 次元ハイパクロスバに対応するネットワーク・ソフトウェアの開発を行って高いネットワーク性能を実現した。高性能計算機システムの性能評価として代表的な標準とされているリンパックベンチマークに対しては10.35 テラフロップス(毎秒10 兆3500 億回)の性能を達成した。なお、開発・製作は、計算科学研究センターと、株式会社日立製作所及び富士通株式会社との三者連携により行われ、我が国における科学技術向けの最先端高性能計算機技術の維持・強化の観点からも大きな意義を有するものである。


電子・原子の量子ダイナミックスを追う第一原理量子計算法の開拓:
現在、さまざまな計算科学の分野で超並列クラスタPACS-CSを活用するための計算手法を研究開発中である。その一つとして、次世代超並列計算機アーキテクチャに適していると考えられる実空間格子上差分計算法による密度汎関数法を開発している。超高速計算システム研究部門との共同により、PACS-CSを含むTFLOPS級のマシン上で、現時点で1000 -2000 原子群の密度汎関数計算が可能となっている。これと同じ理論基盤を持つ実時間密度汎関数計算法によりPACS-CSを用いて計算し、パルスレーザーによって誘起される固体中の電子ダイナミクスにおいて、新規なプラズマ振動の発現を見出すなどの成果がでている。

宇宙シミュレータ“FIRST”プロジェクトと宇宙第一世代天体の起源の解明:
文部科学省特別推進研究「融合型並列計算機による宇宙第一世代天体の起源の解明」(H16〜H19)に基づき、大規模な宇宙輻射流体シミュレーションを行う“FIRSTプロジェクト”を推進した。このプロジェクトの下で、PCクラスタ埋め込み型の重力計算専用ボード(Blade-GRAPE64)を開発し、これを組み込んだ240ノードの融合型PCクラスタ−宇宙シミュレータFIRST−を完成させた。FIRSTは、専用機部分33Tflops、汎用機部分3Tflops演算性能をもち、このような目的で作られた計算機としては、世界初、世界最高速になる。昨年度に引き続き、FIRSTを用いて、@大規模輻射流体シミュレーションコードの開発を行い、これを実装するとともに、A宇宙第一世代星の輻射流体力学シミュレーションを行った。結果として、宇宙第一世代天体においては、これまで言われていたよりも10倍近く星形成効率が上がる可能性が示された。


ILDG(International Lattice Data Grid)の構築:
計算科学においては、大規模計算の進展に伴い、世界的規模で計算データや計算設備を共有し、地球規模の枠組みで研究推進を図る動きが急である。グリッドに関する研究開発として、ヨーロッパ、アメリカなどの関連機関と共同で、計算素粒子物理学分野の計算結果データの共有を目指したILDG(International Lattice Data Grid) の構築を進めている。すでに、基本アーキテクチャを決定し、WebServiceの技術を用いて相互に利用するための仕組みを構築した。さらに、国立情報学研究所が進めているCSI(Cyber Science Infrastructure)の支援を受けて、国内のデータ連携のためのJLDG(Japan Lattice Data Grid)の構築を行った。これは、研究グループごとの仮想組織(VO)をサポートし、広域の分散ファイルシステムgFarmを用いて、密にファイルシステムを共有するシステムである。

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