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東北大学多元物質科学研究所

住所:〒980-8577 仙台市青葉区片平2-1-1
URL:http://www.tagen.tohoku.ac.jp/index-j.html
所長:齋藤 文良
所長の専門:粉体工学、特に、微粉砕とメカノケミストリーの工学的利用 
研究所の概要
伝統ある異分野の研究所(素材工学研究所、科学計測研究所、反応化学研究所)を融合させて平成13年4月に発足した、多元物質科学研究所[略称:多元研] は、有機、無機、生体、及びその組み合わせなどの多様な物質に関する多元的(Multidisciplinary)な研究を組織的・戦略的に展開し、「多元物質科学」という新しい学術領域を開拓すると共に、成果の発信、社会還元、人材育成を通じて、持続型社会の構築という人類・社会の命題解決に貢献することを目標としております。

研究内容・特色
現在、本研究所が傾注推進している研究課題は、その多くが我が国において戦略的推進が必要とされている重点研究分野(材料・ナノテクノロジー、情報、環境、生命)に係るものであり、発足以来、従来の延長線での成果に加えて、このような重要分野でも世界をリードする多元研らしい成果を発信し、積み上げつつあります。勿論、次世代テーマの発掘にも取り組んでおります。
最近の成果
  1. ナノメートルレベルの超薄膜のみを利用した機能性ソフトナノデバイスの構築
    多元研では次世代型ソフトナノデバイスに向けた新しいナノ材料の開発を行っています。両親媒性高分子材料であるポリ(N-ドデシルアクリルアミド(pDDA)を用いてLangmuir-Blodgett(LB)法により高分子ナノシートを作製し、2分子膜(3.4nm)から700層の膜(マイクロ)まで一層あたりの厚さ(1.7nm)を保持した自己支持性高分子ナノシートの作製に成功しました。pDDA希薄溶液を水面上に展開しテフロン板で静かに圧縮することで、ポリマー主鎖は水面上に存在し、側鎖が一方向に配列した構造体を形成することができます。高分子超薄膜が形成された水面を横切るように基板を浸漬することでこの膜を1層ずつ移し取る方法(LB法)を利用して、あらかじめ溶解層を形成した基板上に高分子超薄膜を逐次累積します。得られた基板を適切な有機溶剤に浸すと溶解層が溶け出し、透明な高分子ナノシートとしてとり出すことができます。従来のナノ薄膜は固体基板の支持を必要としましたが、開発した高分子ナノシートはそのような支持基板を必要とせず、ナノレベルでの高安定性・秩序性・平滑性を維持した積層構造を有しています。このようなナノメートルレベルの超薄膜のみを利用した機能性ソフトナノデバイスの構築は全く未知の領域であり、今後の研究展開が期待されます。


  2. 巻き爪矯正デバイス(Once ClipTM)の開発
    爪が肉に食い込むための痛みに苦しむ“巻き爪患者”は、国内だけで15万人(推定潜在患者は1000万人)も存在しますが、外科的手術以外に手軽に行える治療手段が無く、手術に至る前に行える有効な予防策が切望されています。最近我々は、従来のNiTi系合金に比して格段に優れた加工性を持つ新型Cu-Al-Mn系超弾性合金を開発し、本用途に適用することで従来に無い優れた矯正デバイスを開発しました。開発したデバイスの使用法は、カギツメのついた超弾性クリップ板を爪の先に上から被せるように装着し、超弾性合金の復元力で曲がった爪を平らにするものです。この時、合金の持つ超弾性効果により、歪と発生応力の関係は通常のバネで見られるフックの法則に従わず、ある一定の応力でプラトーを形成します。この非線形的性質により、装着後爪の矯正が進んで爪が平らになってきても、装着時と変わらない矯正効果が持続します。医師の協力で、本デバイスを陥入爪により化膿患部を持つ患者に装着したところ、多くの場合、数日程度で炎症がおさまり、数週間で矯正効果が得られました。本デバイスの画期的な点は、医師に頼ることなく患者が自身の都合に合わせて自由に着脱できる点にあります。現在、企業と共同で大量生産技術と規格の確立に向けた試験を行っていおり、今後病院での臨床を重ねた後に、ドラッグストア等での販売を目指しています。


  3. 究極の解像度の光学顕微鏡の開発
    生物の細胞内の活動を明らかにするには、生きた状態で細胞内部を観察できる手段が決め手です。多元研では、技術室支援による先端計測装置開発の伝統を引き継いで、究極の解像度の光学顕微鏡の開発に成功しました。光源にはYAGレーザーのパルス赤外光を金属上に集光して生成したプラズマ(0.2mmの人工太陽)が発する波長13.5nmの軟]線を使います。空気にも吸収される安全なX線です。光学系には、最大直径10cmの特殊精密多層膜曲面鏡をnm精度で仕上げて使用し、50倍の顕微像をX線CCDカメラで撮像する方式です。今回、可視光の半分の400nm解像で、励起レーザーの1ショットでの撮像を実現しました。この世界最高性能の光学系は、視野0.2mmの範囲を6000x6000でハイビジョン解像度で撮像できる究極光学像(ZOビジョン)システムです。設計解像度30nmを達成する見通しを既に得ていることから、生きたウィルスの観察が目前です。毎秒10コマの像には、視野内の各所の細胞活動が全て記録され、あとでじっくり解析できます。顕微鏡の使い方も変えてしまう成果です。なお、開発した軟X線技術は、縮小投影露光装置技術などにも応用可能で、次世代の半導体開発にも役立ちます。



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