研究所の概要
本研究所は、八木・宇田アンテナやマグネトロンなど、1930年前後の本学工学部電気工学科における電気通信の先駆的研究の高まりを背景に、1935年、附属電気通信研究所として設置されました。現在、20余の研究分野から構成され20年のホライズンの研究を行う4研究部門、10年のホライズンで活動する 2実験施設、そして5年のホライズンを特化して行う研究開発センターの3体制を整えております。本研究所は「人間性豊かなコミュニケーションを実現する総合的科学技術の学理と応用の研究」を使命として、内外の研究者と連携し、先導的役割を果してまいります。
研究内容・特色
本研究所は、「高次情報通信の学理およびその応用の研究」を、ハードウェアからソフトウェアまで幅広く担う唯一の国立大学附置全国共同利用研究所であります。本研究所の4研究部門、2実験施設、および研究開発センターにおける研究内容は以下の通りです。
- 情報デバイス研究部門:電子、光、スピンなどの素量子の統合・集積化を基に、次世代情報処理通信工学の基盤となる新機能情報デバイスの研究および開発を行っている。
- ブロードバンド工学研究部門:超広帯域通信のための次世代システムの実現を目指し、マイクロ波からミリ波・サブミリ波、テラヘルツ波、光波までを対象として、各種情報信号の発生、伝送、処理、記録技術等についての研究および開発を行っている。
- 人間情報システム研究部門:人間と環境を調和させる情報システムの創成を目指して、人間の情報処理過程の仕組みの解明および良好な情報通信環境の実現を図るための研究を行っている。
- システム・ソフトウェア研究部門:通信と計算を融合した高度な情報化社会を実現するためのシステム技術およびソフトウェアに関する研究を行っている。
- ナノ・スピン実験施設:ナノテクノロジーに基づいた電子の電荷・スピンを駆使する基盤的材料デバイス技術の研究開発を進めている。
- ブレインウェア実験施設:電脳世界と実世界をシームレスに融合する次世代情報システムのための基盤技術を創成することを目標に、知的集積システムの研究開発を進めている。
- 21世紀情報通信研究開発センター:産官学連携研究開発体制による実用化技術の確立を使命とし、「ディペンダブルワイヤレスシステム・デバイスの開発プロジェクト」、「超高速大容量ストレージシステムの開発プロジェクト」の2開発プロジェクトを現在推進している。
最近の成果
ゲート長80ナノメートルのフラッシュメモリなど半導体素子中の電化分布を高精度で可視化する技術を、走査型非線形誘電率顕微鏡(SNDM)を用いて実現しました。この顕微鏡は、長康雄教授が発明したものであり、これまでシミュレーションによる解析が一般的であった半導体メモリ中の電荷蓄積領域の観察が行えることから、次世代フラッシュメモリ(ゲート長40ナノメートル以下)の開発への応用が期待できます。
電荷分布のSNDM像(チャンネル長110ナノメートル)
また、小坂英男准教授らは、光子の量子状態を半導体中の電子に転写することに世界で初めて成功しました。これまで大型の真空装置内でのみ実現できていた量子状態の転写を半導体中で行うことで、量子暗号通信の信号送信・受信・中継などを半導体デバイスで実現し、LSI化への道を開きました。
その他、舛岡富士雄名誉教授の紫綬褒章受章、坪内和夫教授の産学官連携功労者表彰(文部科学大臣賞)など、通研の成果に対して数々の受賞を受けております。