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住所:〒060-0819 札幌市北区北19条西8丁目 |
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| URL:http://www.lowtem.hokudai.ac.jp/ | |
| 所長:香内 晃 | |
| 所長の専門:惑星科学、雪氷学 |
惑星や生命の誕生から今日の地球環境の成り立ちに至るまで、研究対象は広範に及んでいますが、大括りの研究課題は以下の通りです。

最近の大きな成果としては、今までデータ空白域であったオホーツク海の実態を一気に明らかにしたことが挙げられる。これは、当研究所が中心となって、日露米の国際共同研究プロジェクトとして、本格的な大気・海洋・海氷現地観測を4年間にわたり実施したことによる成果である。オホーツク海の海洋循環、特に、これまでまぼろしの海流としてその存在が不明であった東樺太海流の構造や流量の季節変動などの実態を解明したこと、および、同海域が大気から北太平洋中層に二酸化炭素などを送り込むユニークな存在であること、さらには、世界有数の高い生物生産力をもたらすオホーツク海特有の物質循環、同地域の冬の気候を特徴づける大気と海洋の熱・水循環、古海洋の復元など非常に多くの新たな知見を提供することが出来た。
南極やグリーンランドにおいて掘削される深層氷コアは、過去数十万年にわたる地球環境の歴史を記録する貴重な情報源である。しかし、様々な環境変動の指標として広く用いられている各種イオンが氷床中でいかなる化学状態で存在するのかという基本的なことが分かっていないために、氷コアから得られる情報の信頼性が問われている。本研究では、氷の内部に存在する大きさ数ミクロンの微小な粒子にレーザー光を照射して、ラマンスペクトルを測定し、それらが硫酸塩をはじめとする各種塩の微粒子であること、および総イオン量のかなりの部分がこの固体微粒子として存在することを初めて明らかにした。この結果は,硫酸などは結晶粒界に液体として存在し、元の情報が失われるとする定説を覆すものであり、また、これまでまったく未知であった、降雪あるいはエアロゾルから氷床内部に至る反応過程の解明に結びつく成果である。
最近の天文観測で、宇宙空間には始原的有機物であるメタノール分子が大量に存在し、さらにその重水素体(水素原子が重水素原子に置き換わったメタノール)の量が地球に比べ4桁も多いことが確認された。本所の最新の実験的研究により、メタノール分子は宇宙に浮遊する極低温(10K)の氷微粒子上で、低温特有の量子力学的効果であるトンネル反応により効率よく生成され、その後の表面化学反応により重水素化が活発に進むことが初めて明らかになった。


もし、「雪が天から送られた手紙」であるならば、雪片はそのフラクタル的な形の中に数多くの情報を含んだ「天から送られた巻物」と言える。これまでに雪片の形とサイズ分布や落下速度については、いくつか詳細な観測的研究が行われてきたが、雪片の成長過程の計算では、比較的単純な取り扱いしかなされてこなかった。しかし、衝突確率は雪片の断面積や氷、雪粒子の相対速度に密接に関係するため、雪片の併合成長過程を正確に表現するには、形の効果を考えることが必要である。これまでに、塵やエアロゾルの研究などでは凝集体のモデルとモンテカルロ法を用いた研究は行われているが、雪片の成長に関しては行われてこなかった。本研究では、モンテカルロ法を改良して、形の効果を考慮した雪片併合成長を計算するモデルを開発した。その結果、複雑な形が雪片の成長を促進させることを、定量的に示すことができた。また、モデルで生成された雪片の物理的性質は、従来の野外観測実験結果とも良く一致した。
環オホーツク研究の一環として、ロシア・カムチャツカにおける北方林の動態と気候・環境変動の関係を解明すべく、1997年より継続調査を行っている。北方林は、気候変化の影響を強く受けるであろうと予想されている森林である。熱帯林や温帯林では、幼木は明るいギャップ(森林で大きな成木が生えておらず、上層に葉が無い空所)に定着し生育するが、暗い林冠(森林で成木が多く生え、上層に葉が茂っている所)の下では生育できずに枯死してしまうことが定説としてよく知られている(ギャップ更新)。しかし、カムチャツカ北方林では逆に、幼木は明るいギャップ内で枯死し、暗い林冠下で生育していることを野外調査で見出した(「林冠更新」と名づける)。そして、クロロフィル蛍光に関する測定を行った結果、カムチャツカ北方林のギャップ内の幼木は大きな光傷害(強い光による光合成系の傷害)を受けていること、林冠下の幼木は光傷害を受けておらず健全な光合成の活性を示していることが判明した。この光傷害には、北方林が存在する寒冷圏特有の低温や乾燥といった気候条件が深く関与している。さらに、カムチャツカ北方林の林冠下で生育する幼木がさらに生長して次世代の成木へとなるためには、幼木がある程度大きく生長した段階でその上を覆っている成木が枯れなければならないことも判明した。このように、カムチャツカ北方林が順調に更新し存続するためには、(1)幼木がギャップを避けて成木の周り、つまり林冠下に定着し、(2)その後、その成木の枯死のタイミングに合わせてさらに生長する、という2つのハードルを越えなければならない。すなわち、カムチャツカ北方林は、熱帯林や温帯林に比べ複雑な更新様式を有し、気象条件や成木の枯死のタイミングなど微妙なバランスのもとに成立している森林であることが明らかになった。